競馬のバージョン

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時々「コナウインド」という南西からの風が吹き、湿気と雨をもたらすこともあるが、ほんのわずかな期間だけ。
ストームやハリケーンは、マウイをほとんど通過しない。
マウイ島のプウネネに三代、100年にわたって住んでいるRさん(81歳)は「私の記憶では、日本でいう台風、こちらではハリケ-ンと呼ぶが、家が倒れるほどの大きなものがマウイ島を直撃したことはありません」という。
マウイの自然は素晴らしい。
私は波の穏やかな朝、午前8時ごろにキヘイとワイレア地区寄りのカマオレ(カマオレビーチはI 、Ⅱ、Ⅲがある)で泳ぐことにしている。
ビーチの長さは往復すると、1km以上になる。
岩が突き出ているところには、色鮮やかなサカナたちが泳いでおり、シュノーケルも楽しめる。
冬季にあたる1 1月から4月までの間も海水温度はあり、ややひやっとする程度で泳ぐには十分である。
長期滞在者は砂浜を裸足で歩くのが好きだ。
お年寄りの健康法としては最高だろう。
ハワイではレイの花としてよく使われるプルメイリアタロイモ(サトイモ科)「エンチャンティグ・フローラル・ガーデン」の経営者、Tさんの著書『ハワイの花300種ガイド』によると、ハワイアンが主食としているタロイモは、ポリネシアからハワイに導入されたものだという。
細かく切ったイモを石臼ですりつぶし、少量の水を加えてペースト状にする。
これをタコノキの葉でつくった筒の容器に入れて保存する。
こうしてできた発酵したポイをハワイアンは好むという。
タロイモの栽培は水田で行なわれ、清い流れのあるところで育てられる。
トレード・ウインドが海水を山に運び、山に豊かな雨を降らせ、渓谷に水を流し、タロイモの水田へと水を運ぶ。
タロイモは、まさにトレード・ウインドの恩恵を受けて育つ植物といっていい。
タロイモだけでなく、ハワイ諸島の花や木、果実はトレード・ウインドが育てあげたものなのである。
浜辺にチェアを持参して、本を読む姿もよく見かける。
マウイの自然は健康な体にしてくれる。
マウイに住んでいると「ハナ」伝説を何度も聞かされる。
「天国のような町」「伝説が息づく町」 、ハナの名前から「花のような町」 。
間と話すべてが人間界からかけ離れた町という印象を受ける。
カマアイナ(居住者)ですら、ハナに行くには身構えてしまうとか。
「ハナに行く」というとレンタカーを借りられない。
それほどハナへの道は険しい-何人かに言われた。
ある日、家族5人でハナに行くことになった。
キへイの自宅からハナまでの往復を避け、途中、ハワイ最大で最古のへイアウ寺院近くのベッド&プレックファストで一泊することにした。
フロントに行くと2m近い大男で、りっぱなコールマンヒゲを蓄えた80歳前後の宿の主が、宿帳をもって現れた。
その宿帳はほどの厚さで、宿帳の表紙はよれよれになっている。
開くと訪れた人たちの住所、氏名などがピッシリ。
どうみても50年近くは使用しているのではないか、と思われるほどのシロモノだった。
この宿帳を見て初日から「伝説の息づく町」を実感させられる思いだった。
へイアウのホテルで一泊した翌朝、秘境ハナを目指してクルマを飛ばした。
ハイウエーとは名ばかり。
ハナへの道の-は開きしにまさるハードさだった。
カーブに次ぐカーブが600カ所以上あるとか。
1車線、雨で路肩が崩れかかっているところ多数。
通行1台分の幅の橋が5 6カ所、セカンドギアで時速の悪戦苦闘。
天候は急変するので、視界が悪くなり、途中立ち往生したら半日ぐらい救助されないことはザラだという。
ハナの人はハナの町を文明に侵されたくないくいい気持ちから、道を広くしたり修復したりしたがらないのだそうだ。
ワイディング・ロードに苦しみながら、ハナに行く価値はあるのだろうか、と思えてしまうが、ドライブの見返りは十分あった。
ハレアカラから流れる渓流には、短い滝がいく筋も流れ落ちている。
クルマを止め、冷たい水を手ですくって飲めばミネラルいっぱい。
悪路を走ってきた疲れも吹き飛んでしまう。
しばらく走ると、海に突き出たケアナ半島が見えて-る。
ハレアカラが噴火したときにできた半島は、海岸線が黒い溶岩で、丘に広がるタロ芋畑には水がたたえられ、古代ハワイアンの生活を感じさせる。
溶岩がゴツゴツした巨大な岩から釣糸をたらすと、波の音だけが響き渡り、自然のなかに吸い込まれていくようだ。
緑の山々、紺碧の海、咲き乱れる花々。
古代にタイムハナ・マウイホテルの質素な門にスリップした気持ちになる。
「ハナ・ホテル」の山側に大きな十字架が立っている。
これは、シュガー・プランテーションしてスタート、のちに食用牛の放牧をしてハナの町を活性化したサンフランシスコの実業家ボール・フエーガン氏を記念して建てられたものだ。
その向かい側海沿いにはこんもりした小山がある。
ここはカメハメハ大王が愛したといわれるカアフマヌ王妃が生まれた洞窟がいまでも残っている。
ハイライトは「ホテル・ハナ・マウイ」 。
造りは平屋の木造で、田舎のどこでも見かけるよ-な質素なもの。
9万3000」という広大な地に、たった9 3室の平屋のコテージがあるだけだ。
部屋にはシーリングファンがついているが、テレビ、ラジオ、エアコン、冷蔵庫の類はいっさいない。
ここは世界で「最もロマンチックな隠れ家」といわれるが、とても思えない。
ホテルの宿泊名簿には、古くはクラーク・ゲーブル、スーザン・へイワード、ハリウッド映画をリードした有名俳優の名がずらり。
世界の政界、経済界の大物もお忍びでやってくるという。
潮騒の音、鳥の鳴き声、周囲の緑。
「天国のような」自然が、この世の最後の楽園を演出してくれる。
ハナにはもうひとつの有名なものがある。
「ハセガワ・ジェネラル・ストア」だ。
〝ハナに行ったらハセガワストアを見なくちやダメだよ。
一歩入れば驚きだ″という。
店のコマーシャルソングまである 。
食品、雑貨、電気製品、釣り道具から水着まで、何でも揃っている。
揃っているというより、ないものがない、といったほうが早い店だ。
シユウイチ・ハセガワさんという日系一世が店をおこして、約9 年。
ハナの町民から、そして旅行者に愛され続けている。
この店で買って食べたISの「スパム・オムスビ(オニギ-に肉がのっている)」は素朴なハナの味だった。
毎週土曜日に催されるイベントで、ひときわ目につくのがカラフルに描かれた魚の陶芸を売っているコーナー。
大皿からOBほどのかわいいお皿までいろいろある。
「フムフムヌクヌク・アプアア」というハワイ名をもつ大きな魚は、日本名「モンガラカワハギ」という。
「ラウ・ウリウリ・ヌクヌク・オイオイ」は口が長く 、日本名を「フエヤッコダイ」 。
どの魚も赤、黄、紫といった、いかにもハワイの魚といった原色で、美しく描かれている。
真っ黒に日焼けしてこの店を切り盛りしているのは、Kさん。
神奈川里逗子生まれの逗子育ち、幼稚園から高校までS校、大学はS短大に進んだ。
お嬢さま育ちのKさんは、本来ならOL生活を送ろ、家庭の奥様になっていたかもしれないKさんの人生を変えたのは18歳のときの交通事故だった。
ウインドサーフィンが好きなKさんが、自分のクルマで海辺を走っているとき、ウインドサーファーに目を奪われ、事故を引き起こしてしまった。
顔に傷を負って数針縫った。

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